GALLERY SUGAYA

ガルーダ アクリル水彩と銅版画の比較  


ガルーダA(アクリル水彩)
ガルーダA アクリル水彩 Oct. 2018
F4 243mm*336mm 
ガルーダB(エッチング アクアチント
ガルーダB エッチング アクアチント Oct. 2018
117mm*177mm

 昔から使われている画材に油絵の具があります。この材料に使い慣れている人は、その良さをいくつも挙げることができると思いますが、ここではそれに敢えて触れないことにして、主な欠点だけを指摘してみます。

 (1)油絵の具は乾きにくい。室温が低い冬には上塗りするまでに半月くらい必要。
 (2)ぺトロールなどの薄め液を使うと、室内に臭いが籠りやすく、健康によくない。

 8年ほど前に一戸建ての家からコンクリート長屋に移ってから、特に(2)の問題が気になり油彩画はほとんど描かなくなっていました。しかし最近アクリル水彩による作品を見る機会が多くなり、画材店でもアクリル水彩の比重が多くなっている状況を考え、これを試みる気になりました。早速絵の具等の材料を買ってきて、F4のキャンバスに描いてみたのが左側の作品です。その結果得た結論は以下のとおりです。

 (1)臭いがない。乾燥が速く、どんどん上塗りできて作品を短時間で完成できる。
 (2)水性絵の具なので筆先がよく揃い、細い線が滑らかに描ける。ペンも使用できる。

 さて右側の銅版画は、左側の作品を写真に撮って下絵を作り、制作した作品です。その下絵は、使用した銅板の形に合わせて左側作品の左右を少し切り取り、さらに縦方向に引き伸ばしています。
 左右を比較してすぐに感じるのは、アクリル水彩の方が色という情報が増えているだけ深みが出ているということです。エッチングの勉強が不足していることを加味したとしても彩色作品の方が、単色作品よりも人に訴えやすいということでしょうか。
 エッチング作品の質を高めるにはどうするかということになりますが、まず第一にもっと魅力のある形を追求すべきであるし、抽象化の方向を考えた方が良いかも知れません。第二は白と黒のバランスを工夫すること、勿論白と黒の中間部分の表現の仕方も関係してくるでしょう。