夜笛を吹くと蛇がやってくる
先月は蛇とみみずくのメゾチントでしたが、今月は蛇と笛を吹く女性の組み合わせです。
この笛を吹く女性は、みみずくと同様に居間の飾棚の上にあり、琵琶や手鼓を持って音楽を奏でている四人の官女の中のひとりです。
この人形は天津泥人形と呼ばれるもので、その歴史は19世紀の清朝後期に遡ります。現在中国で売られている天津泥人形の多くは、伝統を引き継いではいるものの、かなり現代的な表情をしていますが、この私が持っているものは、歴史を重く感じるくらいに技術的に優れており、その表情やしぐさは溜息が出るくらいに素朴です。
私が二十数年前に住んでいた天津には、古文化街と呼ばれる区域があり、観光客や市民で賑わっていました。書画骨董や宝石、伝統的食品など多くの店が並ぶ中に泥人形の専門店がありました。しかしこの古文化街は、残念なことにその後取り壊されて、現在は残っていないそうです。
蛇足ですが、わが家で大事にされている古文化街商品には、この泥人形のほかに翡翠の枕があります。家内が愛用していますが、翡翠（軟玉）の玉をひもでつないで作ったもので、ひんやりとして寝やすいようです。私はいろいろ試した結果として、蕎麦がらの枕をずっと使っていますが。
さて笛を吹くと蛇がやってくるという言い伝えがあったような気がして、インターネットで調べてみました。口笛を吹くと蛇がくるという言い方も含めて、いろいろな説明がありましたが、あまり明確なものはありません。多分一生懸命に研究したところで、その成果は大したものにはならないのでしょう。（2013年6月）
