ベルン旧市街A
2013年の6月から7月にかけてスイスを旅行しました。旅行の目的は、2005年に完成したベルン郊外にあるパウル・クレー・センターでクレーの作品をじっくり見ることと久しぶりのスイスアルプスのトレッキングでした。
パウル・クレーセンターはベルンの郊外にあり、ベルン駅を出たパウル・クレーセンター行きのバスはベルン旧市街の目抜き通りを通ります。この作品は、途中下車をして立ち寄った大聖堂の塔から見た街の風景です。
制作に際しては、まず写真を参考にしてかなり綿密な下絵を作り、イメージをはっきりさせました。技法としてはドライポイントとエッチングとを考え、それぞれ一点ずつ別々に作ることにしました。使用した銅板は、初めて手にする大きさでした。
ドライポイントは、最も単純な銅版画の技法で、磨いた銅板の表面を鋭利な刃物で傷をつけて版を作ります。銅板表面にできた溝にインクを埋め、紙を乗せてプレスすると、紙にインクが印刷されます、また銅板表面の傷の周りには、微細なめくれが生じており、このめくれにもインクが絡み、印刷時に紙に移行します。このめくれの効果により、ドライポイントの線は、通常のエッチングの線よりも柔らかな感じになります。
(2015年1月)