GALLERY SUGAYA


大台ケ原風景A  


大台ケ原風景A(油彩)
大台ケ原風景A May 1959 油彩 F4 334mm*242mm

 五十年以上も前の作品です。桜も散り夏が近づく頃、若かりし私は、会社の中の画を描くグループと大台ケ原までスケッチに行きました。大阪から大和上市まで近鉄に乗り、そこから林道をバスに揺られ、さらに目的地まで三時間くらい歩いたでしょうか。それはスケッチ旅行というよりもハイキングの感じでした。
 現在は自動車道路ができて、随分変っていると思いますが、当時の大台ケ原には、大台教会があるだけで、本当に山奥に踏み入ったという感がありました。

 大台教会は、自然を崇拝する神道系の教会とのことですが、当時は田垣内さんといわれる老人が管理をしておられ、突然訪れた私達を温かく迎えて下さいました。夕食後私達は、大台ケ原の狐と猟師の話など、田垣内さんの素朴な民話に耳を傾けました。

 教会に泊めていただいた私達は、朝食後、鬱蒼とした森の中をスケッチに適した場所を求めて歩き回りました。そして確か牛石原というところであったと思いますが、深い森に囲まれていながら、人工的に作られたかのように広く明るい草原を見つけました。

 現場では二枚描きましたが、気に入った方をお世話になった人に差し上げたので、私の手許には、この一点しか残っていません。出来の良し悪しは別にして、昔のことが色々思い出される貴重な一点です。(2015年)



大台ケ原風景B  


大台ケ原風景B(油彩)
大台ケ原風景B May 1959 油彩 F4 334mm*242mm

 50年以上前に大変お世話になった叔母に差し上げた作品です。叔母もかなり前に亡くなり、その後親戚の間を回り回って、最近私の手許に戻ってきました。上の「大台ケ原風景A」と同じ時に若さにまかせて、がむしゃらに描きました。 (2015年)