GALLERY SUGAYA

みみずが九匹でみみずく  


みみずが九匹(メゾチント)
みみずが九匹でみみずく April 2013 メゾチント 120mm*180mm

 今年の正月、家内がいつも参加している太極拳教室の新年会に出席し、紙で作った蛇の飾りを一つ頂いて帰ってきました。ある会員の方が作られて、出席者全員に配られたようですが、その造形的な美しさと面白さに感嘆し、早速居間の飾棚の上に置いてみました。

 この蛇は、立方体を斜めに切った形が一つの単位になっていて、10単位が紙テープでつながっています。各単位はそれぞれいろいろな模様の千代紙で飾られており、最後に付け加えられた目、舌、尻尾などが絶妙なアクセントになっています。 一体、誰がいつこのような蛇をデザインしたのでしょうか。

 さてこの面白い蛇が気に入って眺めているうちに銅版画にしたいという欲求が起こって来ました。しかしこの蛇だけでは私自身の創造性を発揮させることはむずかしく、何かと組み合わせる必要があります。ふと蛇の横にあるみみずくの木彫りが目に入りました。
 このみみずくはバリ島産ですが、下絵に描きこんでみると具象的でありすぎて、かなり抽象化された蛇と釣り合いません。やむを得ず、みみずくを蛇と同様に三角形を基本とする形に作り変えることにしました。

 暗闇の中を蛇がはい回り、樹の上にみみずくがとまっている構図ですが、みみずくは妄想中の蛇の頭の中にいると考えても良いでしょう。本当はこの作品の題を「みみずが九匹でみみずく あほらし 俺は忙しいのだ」としたかったのですが、長すぎるので現在の表現にしました。 (2013年5月)

 
蛇とみみずくの置物(メゾチント)
飾り棚の蛇とみみずく 蛇の長さは19cm