GALLERY SUGAYA

葡萄畑の中の街  


葡萄畑の中の街(油彩)
葡萄畑の中の街 February 2008 油彩 F8 334mm*242mm

 昨年1月、東京国際キルトフェスティバルでパッチワークキルトの造形的な面白さに刺激されてから、このの手法を絵画の方に応用できないものかとずっと考えておりました。

 あれこれ思案した結果、四年近く前にこのホームページに展示した「葡萄畑のある家並」(前頁参照)という作品を選び、このパッチワークキルト的手法を試みることにしました。

 まずこの作品の写真を2枚作成し、それを同じ大きさの正方形に切り刻みました。写真を2枚使用したのは、1枚よりも2枚の方が正方形片が沢山できるという極めて単純な理由からです。
 この正方形を適当に選んで、机の上に並べます。正方形片は横にしても逆さにしても構いません。いろいろ並べ替えているうちに造形的に面白いものができてきます。しかしそのうちに同じ大きさの正方形だけでは、表現上の限界を感じるようになり、一部の正方形については半分の長方形にしたり、4分割して小さな正方形にしたりしました。このようにして画面構成が決まったらそれを一枚の紙の上に糊で貼り付けていきます。下絵の出来上がりです。

 作品の制作は、まずキャンバスに地塗りをしてから下絵の正方形を拡大して描き込みます。つぎに各正方形ごとに下絵を写しとっていきます。一応各正方形について下絵の描き込みがすんだら、全体の構成や隣近所の正方形との関連などを考慮しながらいろいろな修正を加えます。

 このようにして出来上がった作品の細部を見ると、一部は横になったり、ひっくり返ったり、部分と部分が非連続的に接していたりしており、それが予期せぬ緊張感をもたらしています。柔らかな葡萄畑と剛直な建物群との対比も面白いと思います。現在は、これにもう少し手を入れていき、さらに大きな作品を描くための下絵にしようかと考えています。 (2008年3月)