GALLERY SUGAYA

ビルの谷間  


大阪駅大丸から南方向を見下ろした風景
ビルの谷間 July 2008 油彩 P8 334mm*456

 私の仕事部屋は六畳間で、食堂で使っていたテーブル一台、80号程度のキャンバスが架けられるイーゼル一台を置き、さらに手作りの棚二つを並べると、僅かな空間しか残りません。十年前に家を建て替えたときにもっと余裕のある間取りにしておけばよかったと後悔することがしばしばですが、今となってはどうしようもありません。
 この狭い部屋を広く使うには、不要品をどんどん捨てるべきであるし、後期高齢者になった今、身辺整理も悪くなかろうと考え、少しずつその作業を始めているところであります。

 さて棚の中には、古い小品がかなりあり、取り出して見ると、筆を加えずにそのままにしておいて良いもの、さらに筆を加えれば良くなるもの、みっともなく、そして救いようもなくて捨てるべきものなどいろいろあります。
 古い作品を全てこのように分類し処理すれば、棚の中の作品はかなり整理できるし、駄作が人目に触れるという将来の気がかりも解消するわけです。

 この作品に筆を加える気になったのは、高いビルの上から地上を見た構図が面白く、私にしては密度の高い内容に仕上がりそうだったからですが、結果は期待に反して私の力の不足を感じさせられるレベルになりました。
 最近は写真のように精密な写生画が現代アートの一部として注目されているようですが、この作品もそのような方向で仕上げれば、これまでとは変った雰囲気を表現できたかも知れません。しかしそれは私の好みに合わないし、具象の範囲でもっと大胆な画面構成にする方向で努力した方が望ましいように思われます。これからも時々この作品を眺めながら、さらに筆を加え、場合によっては描き直すことも考えたいと思います。 
(2008年8月)