GALLERY SUGAYA

葡萄畑のある家並   


葡萄は畑のある家並(油彩)
葡萄畑のある家並 September 2004 油彩 M8 456mm*273mm

 スイス北部の観光都市シャフハウゼンには、アルブレヒト・デューラー(1471-1528)の論文を基にした円形城塞(ムノート)があります。あの人間業とは思えない凄みのある画を描くデューラーは、論文を書くことも得意であったようで、1525年に発表した「測定論」で画家に必要な幾何学理論を説き、その二年後には「都市、城館、村落築城論」を発表して幾何学を応用した軍事的ノウハウを示しています。しかし所詮画家は画家です。この論文に基づいて作ったこの城塞は、1799年のフランスとオーストリアの戦争に際しては、砲火に耐える代物でないがために攻撃を受けずに終わり、無事現在に至っているのであります。

 さてこの城塞は、駅から旧市街を通り抜け、登った山の上にありますが、この風景は、城塞から再び街へ下る途中、葡萄畑の上から見た家並です。旧市街の家々の屋根が複雑に重なり合い、さらにそれらの屋根の上に明り取りや煙突、排気口など色々な突起物が散在しているのが非常に面白いと思いました。
 デューラーさんのお蔭でモチーフが一つ見つかりました。 (2004年5月)

シャフハウゼンの街並み
シャフハウゼンの街並み

シャフハウゼンの街並み
右側の塔は、バッハフェスティバルが開かれる聖ヨハネ教会で、左側の塔はスイスを代表するロマネスク様式の大聖堂です。ライン川は左手にあります。