GALLERY SUGAYA

にほひざくら   


においざくら(油彩)
にほいざくら December 2002 油彩 F4 242mm*332mm

 においざくらは、冬の初めから2月初旬まで、二回に分けて花を咲かせました。これから暖かになるにつれて丈が伸び、この冬にはもっと沢山の花をつけてくれるものと期待しています。

 さて私は、においざくらの鉢をいろいろな角度から眺めて、デジカメで何枚かの写真を撮っておきました。その中の一枚を油彩にしたのがこの作品です。

 この角度からみた花は、花飾帽子をかぶった人の頭のようにも見え、そんなことも意識しながら描いているうちにふと誰かの作品に似ているような気がして、長い間書棚において埃だらけになっていたエルンストの画集を出してみました。

 シュールレアリストとして知られているエルンストは、フロッタージュとかデカルコマニーなどの手法によって画面に偶然にもたらされた模様に手を加えていく過程で、自分の内面に秘められているイメージを作品の中に定着しようとしました。したがって彼のモチーフは偶然に生じた模様であり、私のこのにおいざくらの場合のように画面以外のところで具体的に存在するものではありません。エルンストの画集を丁寧に見ましたが、部分的に似た感じの作品はあったものの、やはり画を描く出発点が異なるために比較するのに無理があったようです。  しかし私の場合のように、具体的なものをモチーフにしながらもシュールリアリズムの範疇に入る作品ができても良いと思います。妥協せずに描き込んでいたら、もっと面白くなったかも知れません。 (2003年1月)