GALLERY SUGAYA

陽明門   


陽明門のスケッチ(水彩)
陽明門 October 2010 インク・水彩 325mm*240mm

10月は非常に忙しい月でしたが、月末には予定通りに那須・日光と小旅行をしてきました。日光では、いろは坂の上の方が紅葉の見ごろで、沼田へ抜ける金精峠の道端には雪がこびりついていました。

 「日光見ずして結構というなかれ」といわれますが、私は八十歳近くになっていながら、まだ日光へ行ったことがありませんでした。長い間待ち望んだこの日光でのお目当ては勿論東照宮であり、その中でも陽明門はじっくり時間をかけて見るつもりおりました。
 しかし陽明門の前は、修学旅行の学校生徒と老人団体で溢れ、落ち着いて見学する状況ではありません。写真を数枚撮るだけで、後は人の流れに従うだけでありました。

 家に帰って早速、撮ってきた写真をパソコンに入れてじっくりと陽明門を観察しました。全面に竜、獅子が曲線模様のなかにはめ込まれ、それらに施された金箔の輝きは、白い柱や梁に映えています。美しく絢爛豪華ですが、寺院建造物としての雰囲気も備えています。この陽明門を見た感激は画にしておかなければと考え、とりあえず現場にいるつもりでスケッチブックを開きました。

 この陽明門は、壮大さを表現しながらも、細かな描写をする必要があると考え、まず耐水性のあるインクで細部構造を表現し、次に大きな部分の着色に入りました。しかしあるところで筆がとまりました。インクの色と金色と塗り残しの白とのバランスがよいのです。これ以上描くとこの良さがなくなり、画を壊す可能性も出てきます。これはここで止めておいて、また何度も描けばよさそうです。(2010年)

 それから5年が経過しました。この作品はそのままです。再挑戦もしていません。しかし陽明門を諦めたわけではありません。
 現在考えているのは陽明門に群がる聖獣達をもっと現代的に表現することです。しかしそれを進めるには観光客に押されながら撮った数枚の写真では不足で、もう一度オフシーズンに日光へ行って、ゆっくり写真を撮り直したいのです。しかし東照宮は修復工事中で、肝心の陽明門も覆いの中です。
 幸いにも陽明門に関しては、平成30年完工予定が平成28年3月に早まったようで、チャンスは早まりつつあります。東北道も圏央道につながり、日光には行きやすくなりました。(2015年11月)

陽明門
陽明門