GALLERY SUGAYA

初冬の駒ケ岳   


初冬の駒ケ岳(水彩)
初冬の駒ケ岳 November 2010 水彩 266mm*157mm

 11月24日8時30分、今年も新そばを楽しみ、霜に打たれた野沢菜を買い求めようと、車に家内と犬を乗せて家を出発しました。行き先は、八ヶ岳山麓にある三分一湧水公園です。茅ヶ崎から厚木へ出て、御殿場から河口湖、大月経由で長坂まで走ります。

 湧水公園にあるそば屋からは南に雄大な南アルプスが見え、店を出て振り返れば、八ヶ岳連峰の網笠山や権現岳を望めます。山を眺めていると、30㎏のリュックとテントを背負って、小渕沢駅に降り立った高校時代が昨日のように思い出されます。早朝、涼しいホップの林を抜けるまでは良かったのですが、その後は登りばかり、暑くて長い道を喘ぎながら、ひたすら編笠山へと辿り、権現岳を越えてキレット小屋まで歩きました。あれから60年以上の歳月が流れています。

 さてこのスケッチは、湧水公園から南へ少し下がった地点で撮った写真をもとにして描きました。最初は油彩を考えてキャンバスも用意したのですが、時間が少なかったので、早く仕上がる水彩にしました。

 先月も水彩で描いた未完成の陽明門を紹介しましたが、画の構想を練るのには、水彩は便利です。とにかく乾燥が早いし、大きな筆さばき、細かな筆使い、いずれも面白いし、透明な絵具と不透明な絵具を気ままに使い分けることで、表現の幅ができます。この作品では、主として透明絵具を使っていますが、空だけは均質感を出すために白を沢山混ぜた不透明色で描いています。甲斐駒を覆っている雪の色は、紙の色であり、透明色を薄く塗って抑えています。(2010年12月)

新雪の駒ケ岳
新雪の駒ケ岳