ビルの谷間
今月は、ちょっとした勢みで抽象画もどきができました。もどきと言ったのは、抽象画に取り組んだ経験が少なく、抽象画と称するには自信がないからです。もう少し時間が経てば考えも深まり、私自身ではっきり評価できるようになるかも知れません。
さて下左図は、長い間中断していた風景画です。大丸が入っている大阪駅ビルから下を見たもので、左が阪神百貨店、右が第一生命ビルです。五月末頃の夕方だったでしょうか、ビルの影が長くなっています。
最近になってこの画を取り出し、また描き始めたのですが、どうも窓をきちんと描くのが面倒でしようがありません。また止めようかという考えも頭の中をよぎり始めましたが、いろいろ考えているうちに、この何となく面白いビルの谷間を上空からみたらどうなるかという所に行きつきました。
早速、M4号のキャンバスに描き始めましたが、面白くなりそうで、なりません。横断歩道の縞模様を入れたり、バス停の屋根を描いたり、車を走らせたりすると、陳腐な具象画へと変わっていくようです。抽象的な構成に後から具象的イメージを加えるやり方には問題が多いと結論し、右図の段階でこの画を切り貼り加工してみることにしました。
まず思いついたのは、この画を二枚つくり、一方を180°回転させて他方につなぎ合わせる方法です。この方法を画の写真を使って試してみると、非常に面白い感じになることが判り、取りあえず水彩で描いてみることにしました。勿論、最初から二枚をつなげた細長い形状で描いています。
出来上がった作品については、自分でもある程度満足していますが、冒頭で述べたようにあまり自信がないので、余計な説明はしないことにします。ただしこのような方向で研究すれば、もっと面白いものができるのではないかと思っているとだけ付け加えておきましょう。(2012年2月)