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東北は若い頃にスキーで蔵王に行っただけ、妻は初めて。秋の東北旅行を決めたが範囲が広く、北と南、山岳地と平地でも紅葉の時期が異なる。コース日程に迷ったが、吾妻磐梯・蔵王・山寺・鳴子峡を巡ることにした。特に蔵王は11月に入ると雪になる可能性があるため、その前にしたのだが。
<2006.10.23〜26> |

■悪天候の福島 <10/23>
今にも雨が降りそうな大阪の朝。福島空港は雨と霧で視界が悪く着陸できない場合、羽田空港になるとアナウンスされて困惑。飛行機は終始雲の中で気流も悪くかなり揺れたが、吹き降りの福島空港に無事に着陸。
ここからレンタカーになる。最初の行き先、吾妻連峰・磐梯吾妻スカイライン浄土平は厚い雲の中にある。硫化水素臭のする高湯温泉あたりまで登って来ると霧で視界が遮られる。最高点の浄土平に来ても山肌むきだしの荒涼とした景観は霞み浄土平の標識しか見えない。
濃霧の磐梯吾妻スカイライン浄土平
■中津川渓谷
中間点の浄土平を過ぎたあたりから雨は止み視界がよくなる。磐梯山の噴火でできた幾つかの湖沼を縫うように拓かれた磐梯吾妻レークラインに入って直ぐのところに中津川渓谷がある。渓谷を跨ぐ中津川橋周辺の黄金色が素晴らしい。関西では見られない東北らしい紅葉が雨に濡れて艶やか。
■五色沼
レークラインを下って磐梯五色沼に向かう。五色沼は周辺の湖沼の総称。沼の中に溶け込んだ金属成分の違いによってそれぞれ異なる色合いを持つ。探索路の入口にある最も大きな毘沙門沼は、背後に磐梯山を望む定番スポット。磐梯山は雲で隠れているが観光客がいっぱい。
磐梯吾妻レークライン中津川渓谷
■会津若松
紅葉の落ち葉が舞う磐梯ゴールドラインから会津若松に向かう。会津に着いた時には若松城の見学時間が終了。天守に登れず城外を一周するだけになってしまった。
会津は伊達政宗の後、松阪から入封した蒲生氏郷が領主になって若松と改めた。城の本格改修や城下町の整備に取り組み会津の基礎を築いている。
磐梯ゴールドライン、会津若松城
■猪苗代湖 <10/24>
この日の宿はリステル猪苗代ウィングタワ−。部屋から磐梯山と猪苗代湖が望める。磐梯山は2000m以上の高さがあったとされるが、繰り返す爆発で山頂部が吹き飛ばされ200m程低くなった。猪苗代湖は国内第4位の大きさの湖。近くに野口英雄記念館がある。
翌日、雨の中を磐越西線の川桁駅に向かう。昔、この駅から硫黄鉱石や磐梯熱海温泉、岳温泉の湯治客を輸送した高原鉄道があって、そのモデルになった「高原列車は行く」を岡本敦郎が歌い大ヒットした。駅前にその歌碑がある。
■裏磐梯
猪苗代湖のある磐梯山南側を表磐梯。北側を裏磐梯と呼ぶ。裏磐梯高原の桧原湖周辺を歩く予定であったが、雨でぬかるんでいるためレストハウスの高台から湖を眺めるだけになった。
西吾妻スカイバレーの白布峠に向かう。峠は福島と山形に県境。錦平と呼ばれる紅葉の名所や滝などが点在する景色のよい山岳道路であるが、雨と霧で視界が悪い。
裏磐梯高原、桧原湖
■米沢
白布峠を越えると山形県米沢市に入る。雨脚はさらに強く土砂降り状態。雨宿りで混雑する上杉城史苑で米沢牛の昼食。
米沢は伊達・蒲生・上杉と続く城下町。上杉ゆかりの地として有名であるが、米沢や会津を発展させた蒲生氏郷の存在を見落とせない。蒲生氏郷は近江日野の武人。織田信長・豊臣秀吉のもとで日野商人を呼び寄せ楽市・楽座、手工業などを奨励して松阪や米沢・会津を発展させる基礎を築いている。
■積雪閉鎖の蔵王
次に目指す蔵王は雲で覆われている。お釜を見ることは全く期待できなくなったが、この日の宿泊地の宮城蔵王遠刈田温泉に向かうために蔵王エコーラインを越える必要がある。
カーナビはエコーラインが赤×。まさかと思いながら登って行くと、積雪のために通行止になっている。大雨が雪に変わった。
蔵王を越せないとすると、山形市に下った後、蔵王の山裾を迂回する遠回りで宮城蔵王の遠刈田温泉を目指すしかない。大雨の県境峠を越えて蔵王リゾートスパホテルに着いた時は真っ暗になっていた。
■山寺 <10/25>
硫黄泉で有名な遠刈田温泉の露天風呂は素晴らしかった。翌日、立石寺に向かう。通称、山寺と呼ばれる天台宗の名勝である。妻が懸念していた千段もの階段。途中、何度も何度も休憩を繰り返して登りきった。五大堂の舞台から素晴らしい景色が眺められた。
その帰り道、芭蕉句のある蝉塚あたりで、登って来る俳優夫婦に出会う。一週間程後のテレビで、太川陽介・藤吉久美子が山寺・芭蕉ライン・鳴子峡を巡る様子を映していた。我々の旅行とだぶらせながら観た。
山寺を後にフルーツ街道を走る。実家がこの辺りで果樹園をしていると聞いていた。その友人と同じ名前の果樹園があった。後に、この事を話したら彼の実家からサクランボを送ってきてくれた。
山寺
■封人の家
将棋の天童、さくらんぼ東根、紅花の大石田を経て山形県と宮城県の国境にある封人の家に立ち寄る。
昔、守備役人を封人といい、地域の庄屋が兼ねていた。芭蕉は奥の細道で、この旧家を訪れ「蚤虱、馬の尿する、枕もと」と詠んだ有名な句を残している。
■鳴子渓谷
期待の場所である。紅葉のピークは11月上旬、少し早いと思ったが8分程進んだ鳴子峡。大深沢橋をバックに美し過ぎる三色紅葉。ビューポイントの見晴らし台は見物人でいっぱい。大谷川が刻む深い黄金色のV字渓谷。切り立つ断崖や覆いかぶさるような巨岩の遊歩道も巡った。
■鬼首(オニコウベ)間欠泉
鳴子川を遡り、鬼首温泉を訪れた。地熱発電所があり周囲から蒸気が噴き出している。小規模であるが15分間隔ぐらいで蒸気を吹き上げる間欠泉がみられる。
■鳴子温泉
宿は鳴子温泉郷の秘湯中山平温泉琢秀、うなぎの湯をうたい文句とする小規模和風旅館であるが、時々テレビで紹介されるほど有名な、とろみのあるPH9の強アルカリ硫黄泉。手足はつるつるになる。
鳴子温泉郷
■松島・瑞巌寺 <10/26>
この日は夕方、仙台空港で車を乗り捨てる。これまで行けなかった蔵王にトライする時間、距離的余裕はある。高速に入り仙台方面を目指して南下したが蔵王は厚い雲。行先を松島に変更する。
日本三景で唯一訪れていなかったのが松島。
定番コースの松島湾周遊覧船で大小の奇岩や、切り立った断崖に松が映える小島が幾つも点在する風光明媚な松島湾をウミネコと一緒に巡る。下船後、伊達政宗が復興させ、伊達家の菩提寺とした瑞巌寺を訪れる。
松島、瑞巌寺、芭蕉
■仙台空港
今回利用したマツダのレンタカー。乗り捨てする仙台空港の手前の給油所を指定していたが、周辺のスタンド価格より10円/Lも高く設定しているのに驚いた。走行距離は780キロとなった。
仙台空港は半円ウェーブ型天井のきれいな空港。夕暮れの仙台を後に伊丹空港に向かう。
東北の特徴的な紅葉を満喫できたが、天候は初日から最悪。特に蔵王は雪が降る前にと思ったにもかかわらず閉鎖になった。山岳地は天気が崩れるのが早く回復も遅い。翌日、翌々日も一度も蔵王を見ることはなかった。帰宅して調べたら皮肉にも翌日、5日ぶりに晴れたようである。

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