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みちのくに本格的な春の訪れを告げる桜。厳しい寒さをしのいで桜色に染まる弘前や角館。その一瞬を逃すまいと、これまで何度も計画したが開花予想に手こずってきた。
今年も苦戦。大型連休頃が見頃と予想、宿やアクセスを確保したが、寒さが続いて開花が遅れる。今年もダメかと思ったが、直前になって気温が急上昇、あっという間に満開。散ってしまうのではないかと心配しながら出発した。 <2012.5.1〜3> |

■青森・弘前公園夜桜 <5/1>
嫌な予感がする暖かい強い南風。そのため伊丹空港では珍しく平素とは逆向きに離陸。
小型ジェットE70によるフライトは始めて。ブラジルのエンプラエル社製。JALでは老朽化したMDやトラブルが多いボンバルディアから置き換えを図っている。
黒部ダムから白いアルプスを横切って日本海沿いに佐渡島、牡鹿半島、岩木山を眼下に90分で青森空港に到着。ここからレンタカーとなる。
ねぶたの里に向かう。付近には3日前の残雪がみられるが、気温は急上昇して25度の夏日。暑すぎる。
東北三大祭(仙台七夕、秋田竿灯)の一つ。実物大のねぶたと、お囃子が響く運行ショーを体験。ねぶたの由来は七夕祭にまつわる民俗行事、ねむり流しを語源とする津軽弁とされる。

昼食は青森市の中心街にある青森魚菜市場の名物「のっけ丼」。ご飯の上に自分の好みの魚菜類を買い足していく。店頭でウニやホタテの身をとり出しているから新鮮。妻と2人で3500円の食券で海鮮丼を堪能。
昼食後、岩木山を目指す。残雪の岩木山(1625m)は青森県の最高峰。北津軽(五所河原)出身の太宰治は山容を「十二単を広げたよう!」と例える津軽富士の別名を持つ。その山麓にある広大なりんご公園では蕾が大きく膨らんで、連休明けにかけて一斉に白い花が咲きだす。
宿泊はアクセスのよい弘前市内のホテルにしたかったが、連休中は早くからどこも満員となってるため郊外の南田温泉アップルランドになった。ホテルから夕食後に弘前公園夜桜見物の送迎バスを出してくれる。
弘前公園の桜が大きいことに驚く。種類も多くどの木も満開。3層天守の上に月が輝く素晴らしい夜桜。夜になってもそんなに気温は下がらず、用意してきた防寒衣は必要なかった。
岩木山
■弘前公園・盛岡・角館 <5/2>
弘前公園
天気は最高、朝からもう一度弘前公園に向かう。夜桜では見えなかった岩木山。本丸北の郭の石垣から桜に包まれた中に見る岩木山の絵になる景色は最高に美しい。
西濠の桜のトンネルから北の郭・本丸・東門・三の丸と園内をほぼ一周。50種3千本近くが咲き乱れる満開の桜、日本一といわれるだけある。
弘前は津軽氏が治める津軽10万石の城下町、築城400年になる。廃藩後、旧津軽藩主の津軽氏が城跡を整備、市民に開放。明治の後半、桜を移植してから全国に知られる桜の名所になった。
国内で最も多いソメイヨシノ。園内でも主流を占めている。人工品種で種を付けない一代かぎり、60年寿命説とされている。しかし、弘前のソメイヨシノはその倍以上も立派に咲き続けている。リンゴ栽培のノウハウが桜に活かされているそうである。
桜を満喫して高速を南下、南部藩城下町の盛岡、その中心部、盛岡裁判所前にある石割桜を訪ねる。家老屋敷跡に周囲20m以上ある大きな岩の割れ目から桜の巨木が伸びる。花は残り少なくほとんど葉桜になっていた。
石割桜
盛岡を後に雫石から秋田街道、角館街道へと進む。JR田沢湖線刺巻駅を過ぎたあたりに水芭蕉群生地が広がる。以前、八甲田山でひっそり咲いていた水芭蕉を見たが、こんなに咲いているのは初めて。
明日の天気は下り坂。それに出発前に満開となった角館の桜が気がかりでしょうがない。17時を過ぎていたがまだ明るい。前倒しで角館に向かうことにした。
角館の武家屋敷の枝垂れ桜は心配したとおりかなり落花していた。4月28日に開花、2日後の30日にはもう満開。5月1日には落花し始める。その上、初期の寒さで花が出遅れ、急に気温が上昇したため花より先に葉が出てしまう非常にまれな現象によって、例年のような奇麗な桜にはならなかった。
がっかりしながら宿泊のたざわこ芸術村温泉に向かう。建物は古いが角館に最も近い温泉宿。シャトルバスが角館との間を往復している。駐車場が混雑するため、シャトルバスを利用する予定であったが、その必要はなくなった。
角館
■田沢湖・小岩井農場 <5/3>
昨夜の雨で落下した桜の花弁をいっぱい付着した車で出発。
角館駅から桧木内川桜堤も走ってみたがどこもほぼ葉桜に近い。桜のピークは3日前に終わっていた。それでも観光バスやマイカーが次から次へと来る。
角館から羽州街道に入りカタクリ群生地に向かう。秋田内陸縦貫鉄道八津駅の奥にある栗林にカタクリが群生している。密度、規模ともに日本最大級とされている。8年の長い年月をかけてようやく薄紫色の可憐な花を咲かせる。

田沢湖に向かう。前回訪れたとき、潟前森林公園の展望台から美しく輝く田沢湖に感動したが、この日は霞んでいた。やはり天候が大きく左右する。
辰子像の周辺は観光バスなどで大混雑。湖畔のたつ子茶屋で昼食。名物のピチピチ跳ねる大型の活けイワナの串焼きと味噌たんぽを2皿も食べた。
南部片富士の別名を持つ岩手山。その山麓に広がる日本最大の総合農場、小岩井農園まきば園に向かう。
火山灰地で木々もまばらな不毛の原野を大農場にする構想を鉄道省井上長官が提唱。3名の創業者、小野義真(日本鉄道)、岩崎彌之助(三菱)、井上勝(鉄道省)の頭文字から小岩井と名付けられた。
こに来た目的は岩手山を背にする弧高の一本桜。NHKの連続テレビ小説 どんと晴れで一躍有名になった。牧草の保護や防疫などの観点から近づけないが、残雪の雄大な岩手山を背に緑の絨毯の中に咲く。満開は2日後ぐらいになると係員が話していた。
小岩井一本桜
復路は花巻空港からのJAL便。花巻空港で夕食をしている時から急に大雨。伊丹まで往路と同じE70機は風雨の中を飛ぶ。ものすごく揺れてシートベルト装着サインが全く消えない。
生駒山上空あたりでようやく雲の中から抜けた。雨に洗われた大阪市内の夜景がよけいに綺麗に見える。方向音痴の妻が珍しく大阪城を見つけた。
ようやく実現した弘前と角館の桜見物。
4月中旬まで寒さが続いて1996年(H8)以来の遅い開花になると予想された。しかし、月末から予想外の急な夏日。あっという間に満開になって散るのも異常に速かった。
弘前公園の桜は堪能できたが、角館は期待外れになった。開花から満開まで3日。満開になった翌日には散り始める。寒さで花が出遅れて、先に葉がでてきてしまう前代未聞の異常ぶり。期待した武家屋敷通が桜色に染まる景色には出会えなかった。

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