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北海道 一人旅

始めての北海道   :道東   :道南
  
  近年の北海道観光パンフレットでは必ず掲載されている「青い池」や「四季彩の丘」を知らない。30年程前に妻と北海道を巡った当時は、いずれもまだ存在していなかった。
もうひとつ、長年の憧れであった「大雪山旭岳」と道西の秘境地「積丹半島」を、いつか訪れたいと思ってきた。妻の三回忌を終えてようやく実行した。 <2022.7.28〜7.31> 
 

       
      
    コマクサ            ミヤマリンドウ           イワブクロ

久々のフライト <7月28日(木)>
 小型リュックに最小限の着替えとカメラだけの身軽さながら、オミクロン対策として二重マスク、消毒スプレー、解熱剤などを準備した。夏休みに入って、朝早くても伊丹空港は思った以上に混雑。
 10年ぶりの伊丹、JAL身体障害割引制度など全てネット手配、搭乗手続きも以前から変わっているため不安であったが、スムーズに搭乗できた。機種はB738。B737の第3世代に相当する中型機。3×3列席。先に窓側席を確保していたが、直前の日程変更で通路側席になった。

■新千歳空港から美瑛
 新千歳空港まで2時間弱。定刻より少し遅れて到着。送迎シャトルバスで新千歳空港に近い日産レンタカー店に向かう。オミクロン亜種の急速拡大で全行程レンタカー。日程変更などで軽自動車になったが、4千キロしか走っていない比較的新しい車高のワゴン車、運転しやすかった。

      

 道東自動車道から占冠に、そこから富良野国道を北上。一旦、富良野を通り越して美瑛に向かう。
 美瑛は十勝岳の裾野に広がる丘陵地。格子状に小麦、ジャガイモ、ソバ、トウモロコシなどが植わり個性的な景観を生みだしている。
 以前に訪れたときは、拓真館とセルブの丘であった。パッチワークの丘は車窓見物だけだったため、日産スカイラインで一躍有名になったケンとメリーのポプラの大木や、セブンスターの木を見て周る。
 美瑛のほぼ中央、美馬牛の丘陵地に目が覚めるような四季彩の丘ができた。以前は専業農園であったと聞く。その後、四季彩の丘ファームとして衣替え、美瑛を代表する観光花畑になっている。

■青い池、白ひげの滝

  

 道央観光の人気トップの青い池は、十勝岳に向かうの白樺林道の途中にある。
 着いたのは15時。まだ太陽が傾いていない。風もない。前日に雨が降ったが池の濁りはなくほぼベスト条件。周りの木々の緑、立ち枯れのカラマツがコバルトブルーの池を引き立てる。
 1988年(S63)12月に十勝岳が大噴火した。北海道を訪れたのはこの年の夏であった。その後、美瑛川に堆積した火山灰の除去や、泥流堰き止めダム建設中に青い池が偶然できた。
 青い池から美瑛川の少し上流、白金温泉に白ひげの滝がある。十勝岳の地下水が溶岩層の割れ目から幾筋もに別れて落ちる潜流滝。落差は30m程。黒褐色の岩盤が水の青さをよけいに引き立てる。ここがブルーリバーの源流らしい。
 この日は白金温泉の観光ホテルに泊まる。小さなテレビと座敷机が置かれた古い和室であるが、硫黄臭が漂う露天風呂は格別であった。

大雪山旭岳 <7月29日(金)>

  

 北の夜明けは早い。白金のホテルを5時半に出発。途中の山道でキタキツネに出会う。時々すれ違う車は猛スピードで飛ばしている。旭岳ロープウェイ乗場まで2時間の予定が1時間半で着く。
 旭岳(2291m)は大雪山系の主峰、北海道の最高峰。5合目までロープウェイで10分程。下界は晴れていたが少し曇、時に薄日が射したり青空が覗いたりする山の天気。気温22度。風もなく穏やかで白い噴煙を出す火口が望める。
 神の庭と呼ばれる高山植物群や、旭岳を映す姿見の池など標高差100m程のトレッキングコースを巡る。赤いエゾノツガザクラ、黄色いミヤマアキノキリンソウ、紫のミヤマリンドウ。高山植物の女王のコマクサも見つけた。白いチングルマは既に綿毛になり始めている。エゾオヤマリンドウも咲き始めた旭岳はすでに秋の入口にある。9月に入ると日本一早い紅葉に彩られる。

■富良野
 可憐な高山植物と出会った旭岳を下山。午後は富良野のファーム富田に向かう。その途中、美馬牛の富良野国道を少し逸れ、アップダウンを繰り返すジェットコースターの道に立ち寄る。
 富良野は西武の北海道リゾート開発の拠点。30年前程に訪れた時は新富良野プリンスホテルができたばかりであった。ファーム富田を再訪してみた。当時は、香料原料として栽培されていてたラベンダー畑一色。爽やかな香りが広がるのんびりした農園であった。ところが、色々な花が植わり車や観光バスがどんどん入って来る。展望デッキや食事処ができて観光俗化している。

  

 混雑するファーム富田を早々に切り上げ、富良野岳の麓にある麓郷の森に向かう。長編テレビドラマ「北の国から」の舞台。ラベンダー園でラベンダーのソフトを食べながらのんびり巡る。

 富良野から芦別街道を北上、旭川と札幌の中ほどにある美唄に向かう。やはり車が少ない。広い道路を制限速度以上で飛ばす車ばかり。
 一人旅は従来から寝るだけの宿と割り切っている。駅前の小さなホテルであるが新しくきれい。牧歌的な景色や、駅に停まる列車などを眺めながらコンビニ弁当の夕食。

積丹半島 <7月30日(土)>
 この日も朝が早い。道央・札幌自動車から積丹半島最先端の神威岬を目指す。
 積丹半島は平野部がない山岳地。複雑な浸食断崖の地形は、知床半島と並ぶ秘境地、陸の孤島であったが、ニシンなど魚類の運搬道路として切り拓かれた。しかし、落石などでしばしば通行止めになる。近年は新しいトンネル道路が次々できて半島を一周できるようになった。「路線バス乗り継ぎの旅」のテレビ放送でも紹介されている。

  

■神威岬
 積丹半島最先端、神威岬の入口に義経伝説の女人禁制門がある。明治時代までこの先は女人禁制であった。
 その門から最先端の岬まで積丹ブルーの海に囲まれた切り立った断崖。馬の背のような狭い階段や橋、アップダウンのある地道が1キロ近く続く。
 積丹の海は透明度が高いだけではなく、海底に海藻が少ないため深い海の色にはならず、独特の積丹ブルーになる。沖縄の海の色も、海底の白砂とサンゴが美しさを引き立てていると聞いたことを思い出した。
 白亜の灯台を過ぎると岬の最先端。100m近い断崖絶壁。その先は日本海に向かって高さ45mのカムイ岩が立ち、吸い込まれそうなブルーの海と地球の丸さを感じる雄大な景色が広がる。

■積丹岬、黄金岬

  
 
 朝に来た道を戻る。暗い人道トンネルを抜けると積丹岬の明るい海が広がる。100m程下の島武意海岸に降りてみる。下に降りるほど海の色は青色から透明色に変わる。降りるのは10分。戻るのは20分。
 美国の積丹役場に車を停めて雑木林を登ると黄金崎展望所。断崖絶壁の直下に宝島を望む絶景。空より青く吸い込まれそうな積丹ブルーの海。昔はニシンが宝島に群がり、この高台はニシンの見張り場であった。黄金崎と宝島の名前はこの時に付けられたと聞く。


■豊浜、古平、小樽

 ソーラン節発祥地、ニシン漁港の豊浜。トンネルの入口にアイヌ語の犬の神とされるセタカムイ岩が海に向かって立つ。その側に豊浜トンネル岩盤崩落事故慰霊碑がある。
 1996年(H8)大規模な斜面崩落によってトンネルが押し潰され、トンネルを通過中の車や路線バスに乗っていた20人が亡くなる悲惨な事故であった。
 幾つかのトンネルを抜けると、高さ50mもあるローソク岩エビス岩大黒岩などの奇岩が続く。シリパ岬(海に突き出す山)を過ぎると余市。荒々しい海岸は少なくなり、塩屋海岸を過ぎるとこの旅の最後の宿泊地の小樽。夜はちょっとノスタルジックな夜の小樽運河を少し巡ってみた。

    

札幌 <7月31日(日)>
 3日間朝が早い日が続いたが、この日は少しゆっくり。天気予報では曇りとなっていたが晴れている。前回行かなかったテレビ塔大倉山スキージャンプ競技場に行ってみる。
 テレビ塔の展望台は90m。恵庭山や直下の大通公園、札幌市が見渡せる。大倉山スキージャンプ競技場は最大傾斜35度、標高差134mのラージヒル。リフトでジャンプ展望台まで上がとその全貌がよくわかる。

 新千歳空港に戻って、4日間で775キロ走った車を無事返却できた。
 大規模改修された広い新千歳空港ターミナルビル。買物や食事だけでなく、温泉、サウナ、シアター、ゲームセンターなどの商業施設が揃う。レストラン街は何を食べるか迷うほど店舗も品数も多い。
 まだ少し明るい空港を離陸。直ぐに雲の中に突入、東北地方に前線が横たわるため大揺れ。シートベルト着装ランプが殆ど灯ったままになった。

  

 天候が安定する7月から北海道のトップシーズンとなり混雑する。4月頃から何パターンかに分けてホテルなどの予約をしていた。ところが天候不純、梅雨のない北海道で蝦夷梅雨が続いて二度も日程変更。予約とキャンセルを繰り返すことになったが、その甲斐があって、真っ赤に日焼けするほど好天気に恵まれた。




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