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立山黒部アルペンルート・黒部渓谷

                            
立山紅葉<2022>&雪の回廊<2023>


       

  若い頃に何度か行った立山。山頂にも登っているが濃いガスで覆われていた。立山から五色ヶ原・薬師岳に抜ける縦走も台風で中断。そのため、雄大な立山の絶景に出会えていない。その頃はアルペンルートはまだ未完成。1971年(S46)に全通した後も何度か計画しながら実現しなかった。立山に限らず山岳景勝地は天気の良し悪しできまる。
今回こそ好天気にと、山の天気予報を調べて宿の予約、キャンルを何度か繰り返して、ようやく実現した。<2015.7.31〜8.2> 
 

北陸新幹線
 室堂に泊まり高所順応して立山周辺をトレッキングしたいが、トップシーズで山上ホテルの急な予約は無理。富山で泊まって早朝出発することになる。天気予報や立山のライブ情報などから前々日に急遽決めた。
 金曜日の午後、大阪駅からサンダーバードに乗る。これまで富山までサンダーバードで直行できが、北陸新幹線が3月に開業したため金沢で新幹線に乗換えなくてはならない。大阪から富山までの時間は今までと変わらず料金だけ高くなった。 
 
 夕方でも富山は35度と暑い。翌日は土曜日で混雑が予想される。隣の富山地方鉄道駅で切符、改札時間の状態や天気を確認した。立山は快晴。明日も晴れると聞き、ほっとして駅前の東急エクセルに宿泊。

■富山地方鉄道→立山ケーブル→美女平→室堂
 4時半に起きてホテルをでる。5時から始まる立山ケーブルの予約整理券を入手するため富山地方鉄道の窓口に並ぶ。こんなに朝早くても多くの人が窓口に来ている。
 立山線5時半の始発に乗る。ほぼ全員がパンやおにぎりを食べる奇妙な車内風景。蒸し暑く空はどんより曇って、時より薄日が差すが青空は見られないため少し不安。
 6時20分、富山県側の玄関口の電鉄立山駅に着く。立山ケーブルの待ち時間は50分と表示されている。定員が少ないこの立山ケーブル(120名)と、大観峰の立山ロープウェイ(80名)が最も混雑する。

 ケーブル改札口のライブカメラで快晴の室堂平、大観峰の様子を観て思わずガッツポーズがでる。
 7時予約の立山ケーブに乗れた。7分で標高977mの美女平に着く。美女平から立山高原バスに乗り換える。称名滝が遠望できる滝見台ではバスを一時停車してくれる。杉木立を過ぎると視界が開けて青空が広がってきた。弥陀ヶ原、天狗平と変化する山の景色を車窓ごしに眺めながら8時、標高2450mの室堂ターミナルに着く。

     

■室堂トレッキング
 ターミナル建屋の前庭にでると立山の石碑と立山玉殿の湧水碑がある。その眼の前に雄大な立山連峰が広がる。雲ひとつない快晴。室堂平を囲むように大日岳、劔岳、立山三山など3千m級の山々が迫る感動の景色である。これまで天気が悪くこの絶景に出会えなかった。
 室堂は立山カルデラ台地の中心、室堂平と呼ばれる登山基地。元来は山岳修行者が修行や宿泊するお堂から派生したもので、室堂小屋として今も重要文化財として残っている。

■立山ギブアップ→室堂展望台
 室堂で5時間の余裕を設けていた。妻には立山山頂(3015m)までは無理と言ってきたが、ひそかに挑戦しょうと思っていた。一ノ越(2700m)までは歩きやすい登り坂であるが、後から来る人に次々抜かれる。2500mを越えると空気が薄くなる。身体が高所順応していないことに気づく。
 この調子では山頂までは無理と判断。隣の室堂山展望台(2675m)に方向を転じる。
 五色ヶ原から薬師岳に抜ける人気の登山コースの入口にあたる。ガレ場で足元の悪い急斜面が続く。雪渓の照り返しで眩しく立ち眩み。まだ高所順応ができず酸素不足状態が続いている。
 景色や高山植物を撮りながら少し進んでは休憩を繰り返す。1.5時間コースを2時間がかりでようやく室堂山展望台にたどり着く。


   

    

   

 この展望台からの絶景は表現しがたい。眼下に巨大な立山カルデラの窪地が広がる。立山三山とその向こうに剣岳を望む。五色ヶ原の奥に薬師岳の雄峰。その稜線から黒部五郎岳。奥に笠ヶ岳、槍ヶ岳、穂高岳と北アルプスの名峰が遠く連なる。左手前に突き出ているのが龍王岳(ラストの写真)。
 若い頃、ここから五色ヶ原を経て薬師岳を目指したが、台風の大雨で断念している。いつまでも飽きない景色であるが逆光になりかけてきたので引き返す。

■みどりが池・みくりが池
 室堂小屋まで戻って、みどりが池、みくりが池、地獄谷を巡る。浅くて透明なみどりが池は周囲にかなりの残雪。神秘的なみくりが池は室堂のシンボル。紺碧の水面に映る緑の立山と白い残雪とのハーモニー、この頃の北アルプスの中で最も美しいといわれている。

      

 その先の地獄谷は有毒ガス発生のため立ち入り禁止。えんま台から見下ろすだけになる。
 室堂に戻って立山玉殿と呼ばれる湧水を飲んで一息つく。清涼感が喉に広がる。破砕帯から噴出し続けている大量の湧水で、立山の万年雪が何年ものあいだに地中で濾過され、ミネラル成分をたっぷり含む立山天然水として市販されている。
 室堂ターミナルに戻る。地階が大観峰や黒部湖、黒部ダムに向かう立山直下のトンネルトロリーバス乗場。1階が美女平方面へのバス乗場。2〜3階が店舗、4階からホテル立山となっている。トンネルトロリーバスの乗車整理券を先に入手して、待ち時間に昼食。

   

■大観峰→黒部平
 13時の立山トンネルトロリーバスに乗って大観峰に向かう。
 大観峰(2310m)は立山連峰の東斜面の断崖絶壁にせり出すように建つ立山ロープウェイ乗場。狭い構内は混雑している。
 後立山連峰や黒部湖を望む大観峰の景観はアルペンルート最大のスケールを誇る。ロープウェイの待ち時間に屋上展望台にでる。空気が爽やか。目の前に後立山連峰の針ノ木岳、赤沢岳が鎮座、稜線の向こうは鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳と続く。眼下には緑の黒部湖を望む大パノラマが広がる。


      

 次の立山ロープウェイは80名しか乗れないためアルペンルートの難所。空いていても30分、ピーク時には1時間以上も待つことがある。13時50分の先頭に並ぶ。
 国内で唯一支柱がない日本最長の動く展望台。1.7キロ、標高差500mを7分で黒部平に下る。

 黒部平は大観峰と違って駅舎が広い。屋外には庭園が広がる。黒部湖は少し視野が遮られるが大観峰や周囲の山々を見上げる景観が素晴らしい。

■黒部ダム湖
 黒部平から黒部湖に下るケーブル。定員(130名)が多くなるため、ほとんど待ち時間はない。30度近い国内最大勾配のトンネルケーブル。5分で黒部ダム湖に着く。
 黒部ダムは戦後の復興期、電力不足による停電が頻発したことから、関西電力は経済活動の命運をになう黒部ダムの水力発電所建設を決断する。そのスケールと建設の困難さから世紀の大事業といわれた。大手建設会社5社に要請、1956年(S31)から完成まで7年。300年以上機能すると見込まれている。
 500m程の長さのダム堰堤を歩く。高さ190m程あるダムの下を覗くと豪快な放水が見られる。水しぶきが舞い黒部渓谷に虹がかかる。

   

 ダム展望台まで300段近い野外階段を登りきると、眼下にダム全容と立山連峰を望む。登ってきた同じ階段を一番下の新展望台まで降りる。毎秒10トンも吹き出す豪快なダム放水が間近で見られる。
 新展望台から元のダム堰堤に戻るまでトータル400段を昇降してきた。ダムのレストハウスで休息。
 レストハウス横のトンネルが富山県と長野県の県境となる赤沢岳(2678m)を貫く関電トンネル。専用のトロリーバスでトンネルを抜けると松本側の玄関口にあたる扇沢にでる。

 このトンネルは黒部ダム建設の中で最も難航。岩盤が細かく割れて地下水を溜め込んだ軟弱な大破砕帯に突き当たった。大量の地下水噴出で困難を極めたトンネル工事の様子は書籍や映画で紹介されている。

■下山
 15時近くになって黒部ダムから室堂に向かう人は少ない。ケーブルやロープウェイの待ち時間はなくスムーズに室堂に戻れる。


    

 雲ひとつない室堂の景気をもう一度ゆっくり堪能。夕方の立山は順光となる。午前中は横光線を受けて濃い緑色をしていた山々、午後からは直射光線を受けて灰色の地肌が目立ち荒々しく感じる。
 下山する人達が室堂ターミナルに集まってくる。
 16時の立山高原バスに乗る。美女平からケーブルに乗り継いで降りた立山駅は蒸し暑い。古い富山地方鉄道の車両、冷房の効きが悪すぎる。途中の駅から浴衣を着た人達が乗り混んで狭い車内は満員。夕暮れの富山市内はもっと暑かった。

 夕食をすませてホテルで汗を流した。屋外で音がするので外を見ると花火が打ち上げられている。浴衣を着た人が目立ったのはこの花火。市内を流れる神通川の川面を染める花火がホテルの部屋から見物できた。この日、大阪ではPLの花火である。妻は自宅で花火を見ていると思う。

      
             室堂山展望台から 五色ヶ原と薬師岳、槍ヶ岳・穂高の遠望

 今回は好天気であることが絶対条件であった。天気予報がズバリ的中。これまで果たせなかった美しい立山黒部の景色に巡り合える感動の旅となったが、急ぎすぎて高所順応ができなかった。若いころは無理をしてでも気合で登れたが、そんな体力はないことを思い知らされた。 


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              黒部渓谷 トロッコ列車

  前日、富山から立山黒部アルペンルートを折り返した。予備日を設けていたが好天気に恵まれた。空いた予備日を立山称名の滝、黒部渓谷、白馬八方尾根などを考えていた。前日の疲労が抜けないため、最も負荷の少ない黒部渓谷にした。 <2015.8.2>  

宇奈月温泉
 黒部は妻と十数年前、トロッコ列車で宇奈月温泉−欅平間を往復している。この時は、時間的な余裕があまりなかった。今回はゆっくり巡ることにした。
 前日と同じ駅前ホテルを早朝出発。この日も晴天で朝から暑い。富山地方鉄道本線で宇奈月温泉に向う。富山平野を抜けて上市でスイッチバック。滑川から富山湾沿いを走り途中から山岳部に入る。1時間50分かかって宇奈月温泉に着く。

   

黒部渓谷トロッコ列車
 黒部峡谷鉄道のトロッコ列車の起源は大正時代の後期。宇奈月温泉の湯治客、アルミや黒部川電力開発の資材を輸送する専用鉄道として建設開始。およそ15年がかりで1937年(S12)完成。
 762mmの軌道幅は国内最小。欅平までの20キロを平均時速15キロ、80分かけてゆっくり走る。
 宇奈月を出発してすぐ黒部川に架かる赤い新山彦橋を渡る。宇奈月ダムや西洋の城のような発電所、猿専用の吊り橋などを見ながら渓谷を進む。
 黒部川は岐阜、長野、富山3県の県境に位置する北アルプスを源として日本海までの90キロ弱。3千mの標高差を下る。黒部川を挟んで西側の立山、剣岳などの立山連峰と、東側の鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳などの後立山連峰との間の深いV字渓谷となっている。
 コバルト色やエメラルドグリーンに見える黒部川。トンネルを抜けるたびに山の緑が深くなる。対岸に万年雪が見られる。宇奈月駅から縫うようにして登ってきたトロッコ列車は標高600mの欅平に到着。

   

欅平
 帰りのトロッコ列車まで3時間の余裕を設けて、天然記念物の猿飛峡に向かう。黒部川本流で最も川幅が狭く崖が飛び出している名勝地。多少アップダウンはあるが黒部川の渓流沿いに景色のよい道が続く。白馬連峰が覗いたり狭い真っ暗なトンネルなどを抜け1キロ程で猿飛峡に着く。水の色や葉緑がきれい。揺らぐ瀬音が心地ちよく時のたつのを忘れてしまう。
 欅平に戻り名剣温泉や祖母谷(ババダニ)方面向かう奥鐘橋を渡る。この橋付近は黒部川と祖母谷川が合流するビューポイント。
 奥鐘山の切り立った断崖の道を行くと、道を覆いかぶさるような大きな岩壁が立ちはだかる。飲み込まれそうな人食い岩と呼ばれる道。対岸は断崖絶壁の深い渓谷になっている。この先は名剣温泉、祖母谷地獄から白馬、唐松岳に向かう本格的な登山道になる。


   

 Uターン、ビジターセンター横の急な階段を下ると黒部川の河原展望台。先ほどの奥鐘橋の真下、河原から一気に600mも立ち上がる奥鐘山の断崖絶壁を真上に見上げるかたちになる。
 河原の浅瀬に足をつけてみる。冷たすぎる。乳白色で硫黄臭がする河原展望台の足湯で温める。河原まで降りてきたのはよいが戻らなくてはならない。下りの倍以上の時間がかかる。
 欅平駅舎の2階で昼食。奥鐘山の断崖や祖母谷渓流の景観を眺めながら白エビのかき揚げうどん。帰りのトロッコ列車は窓がない普通車。背もたれがないが爽やかな風を受けて心地よい。

やまびこ展望台
 トロッコを降りて宇奈月駅の駅舎奥にあるやまびこ展望台に登ってみる。
 赤い新山彦橋を通過するトロッコ列車を眼下に眺められるスポットとして知られている。少し待っているとトロッコ列車が来た。まるでミニチュアのようにみえる。
 富山地方鉄道の宇奈月温泉駅に戻る。少し時間があったのでトロッコ旧線路を活用した遊歩道や駅前の温泉足湯で時を過ごす。
 

 宇奈月温泉駅から富山地方鉄道の富山行きに乗る。富山まで行かず途中の新黒部駅で下車する。
 北陸新幹線が黒部宇奈月温泉駅を開業させたのに合わせて、富山地方鉄道も新幹線駅から3分程のところに新黒部駅を設けた。新黒部駅で新幹線に乗り換えると料金は数百円程高くなるが、金沢には1時間以上早く着ける。大阪には薄暮の19時半着。この日も朝が早かったため眠いがほとんどが乗り物。立山の疲れを大きく引きずることなく帰阪できた。




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