9)きめ細かさ等ユーザ要求への対応
日本人はえてして、全体の中でのバランスというような合理的判断よりも部分や商標や画面の見栄え、細部の機能等を念入りに追及する傾向や、現状の事務実態を優先する保守性もある。 共同開発でコストをセ−ブする等の合理的手段が取られにくいのもその辺に一因がある。 そうして、部分的であっても一旦精巧なシステムが作られてしまうと、よりラフなシステムへの後退はあり得ず、それなりに評価されて定着する。 従ってシステムの中で、ユーザニーズに焦点を当てて、きめ細かく検討すべき対象を限定する事も必要になってくる。ここでもシステム化のポイントを絞り込む事である。
10)ユ−ザ主導のシステム化効果判断
最初の折衝でユ−ザの要求、関心、予算、期待を的確につかみとる。そこに重点を絞ってフィットした返事を返す事が信頼につながる。
ユーザのシステム化要求にはピンからキリまであり、全てを取り上げる訳にはいかない。
どれを実施するかを選別するには効果コスト対比に基ずくグレイド付けが必要である。
しかし効果の中には定量効果として金額や時間に換算できない、正確さや迅速性等のいわゆる定性効果もある。
これらの効果の程はユ−ザ自身による判定に任せざるを得ない。
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但し開発ロ−ドの見積り責任は、あくまで開発者側にある為、ユ−ザ要請に振り回されずふるいにかける対応が必要になる。 ユ−ザ評価を見極めて全システム工程を通じて最も効果の上がるロ−ド配分を考える。 対外帳票、大量帳票、重要数値、年度末に集中して至急作成しなければならない帳票等ユ−ザにとって重要と思われるものはどれなのか。重要性に比例させて各システム構成要素の設計、プログラミングのロ−ド配分に濃淡を付け、周辺的なニーズは切り捨てる。
ユーザの最もやって欲しいことすら確実に出来ない様ではいくら、デコレーションや優れたテクニックを凝らしても評価はゼロになる。 先ずユーザーの狙いを絞り込み、その実現方法について、最低これだけは確実に行なわなければならない、目をつむる事ができない点を具体項目として列挙する。
ユーザーの狙いにマッチしたシステム骨子をデザインし、そのシステムの基本目的からシステムの備えるべき特徴類型を大きく捉える。 (Ex. 大量データのバッチ処理なら、処理時間、メモリー対策を考慮した設計が必要。マンーマシンの対話型処理中心のシステムなら操作性、レスポンスタイムに留意。数値処理なら、シンプルなシステムにして数値合わせの過程をわかりやすくする。)
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11)ユ−ザニ−ズの背景をとらえる
そのポイントを言葉の端から引き出す様心掛ける。又そのニ−ズが出てきた背景や競合会社、人的つながり、ユ−ザの弱点にも気を配る。
可能なら背後にある官庁指導や業界動向にも対処出来るシステムを提案できれば、基本設計より更に上流のコンサルタントの役割をも果たせ得て、信頼関係が深まる。
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