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     −ちょっとおでかけ−
        近郊の        


  本格的な春の到来を告げる桜の開花。いつの頃からか習慣として根付いて、進化してきた花見は日本文化の代表である。桜前線や開花宣言、何分咲きなどと表現される。
開花から一週間で華やかな満開を迎え、たちまち桜吹雪や花筏になって美しく散る。「散る桜、残る桜も、散る桜」と諸行無常を感じさせる特別な花である。 


湖国 大津 坂本・三井寺 

 <2025.4.8>
    

 冬の湖国は、比良山から冷たい強風が吹き付けて湖上は大荒れになる。4月に入ると「比良の八講 荒れ終い」と言われて、北風も緩み本格的な春を迎える。
 訪れた大津坂本は、京阪三条から京津線と石坂線を乗り継ぐ。比叡山の地主神を祀り2千余年の歴史ある日吉大社と比叡山延暦寺の門前町。穴太衆の石積み石垣で囲まれた延暦寺の里坊寺院や古い民家が並び、日吉大社の参道にソメイヨシノやピンクの枝垂れ桜が咲く美しい季節。

 
 

 観音霊場の園城寺は、天智、天武、持統天皇の三帝の産湯の泉があることから三井寺と呼ばれる。
 もとは天智天皇を父に持つ大友皇子(弘文天皇)の氏寺であった。ここの有名な観月舞台からの桜観賞は予約で満杯のため入れなかった。

 付近には天智天皇の大津京跡、壬申の乱で敗れた大友皇子陵や、琵琶湖疎水の入口がある。約9キロ先の京都蹴上まで40m程の高低差を下る疎水は明治時代中期に建設された。その両側に山桜やソメイヨシノが咲く。

 
 






淀水路 河津桜

 <2023.3.8>
 伊豆河津の河川敷で偶然見つかった1m弱の若木を育て、花を咲かせ「河津桜」と名付けられた。
 大島桜と寒緋桜の自然交配種で、ふっくら丸みのある紅い蕾、花弁が大きく濃いピンク。梅とほぼ同時期の2月頃から咲き始め、3月上旬まで長く咲く。たちまち全国に浸透した。
 淀競馬場のある京阪電車淀からほど近い、淀川と桂川を結ぶ淀水路の1キロに植わる。


  






宇陀本郷 又兵衛桜

 <2022.4.8>
      

 奈良県宇陀市本郷、大和高原の山村に推定樹齢300年の滝桜がある。
 この場所は戦国武将の後藤又兵衛の屋敷跡。又兵衛は大坂夏の陣に加わり徳川方と戦い討死したが、この地に落ちのびて僧になって暮らしたと言い伝えられている。
 2000年(H12)NHK大河ドラマ「徳川三代」のオープニングで取り上げられ、全国的に有名になった。
 その少し前頃に訪れているが、近年は周りに桃、水仙、菜の花などが植わり随分きれいになっている。しかし、以前にはなかった立入禁止柵や、有刺鉄線などで囲まれ風情がなくなった。






根尾谷 淡墨桜

 <2022.4.6>
 三春の滝桜(福島)、山高の神代桜(山梨)と共に日本三大桜に数えられる根尾の淡墨(ウスズミ)桜。
 JR岐阜大垣駅から樽見鉄道で1時間。樽見駅から20分ほど、根尾谷の小高い丘に咲く。樹齢1500余年のエドヒガン桜の老木。散り際に淡い墨色になることから「淡墨桜」と呼ばれる。
 昭和初期に枯死しかけたが、200本以上もの若い山桜の根接ぎによって生き返る。
 しかし、伊勢湾台風(1959年)で無惨な姿になってしまう。作家の宇野千代さんの寄稿文や懇願をきっかけに支援を広げ、大がかりな再生手術で復活した。
 この日、満開になったばかり。後方に植わるこの桜の2世若木と重なるためボリュームがあるように見えるが、枝ぶりの劣化は否まない。

  

 帰りは一駅先の水鳥(ミドリ)にある根尾断層まで行ってみる。M8の濃尾地震(1891年)で死傷者2.5万人をだす直下型巨大地震の震源地。高さ6mにもおよぶ断層が80キロも残る。
 水鳥から再乗車。途中の谷汲口(タニグミグチ)という無人駅で花吹雪に遭遇した。次の電車は1時間後しかないが思わず降りてしまう。






醍醐寺の桜

 <2015.4.2>
      

 山科醍醐山の麓、真言宗の山岳修行寺院。醍醐天皇の勅願寺であったが、応仁の乱の戦火で荒廃。豊臣秀吉の花見をきっかけに復興。約700本の桜が咲き誇る豪華さは京都でもトップクラス。次の日曜日は恒例の太閤行列で賑わう。
 霊宝館中庭の樹齢150年の深雪(ミユキ)桜は、京都でトップの大枝垂れの巨木。根の保護のため近づけない。少し小ぶりではあるが、三宝院の太閤枝垂れ桜も風格がある。

  






大阪城公園 

 <2014.4.2>
 大阪城西の丸庭園の夜桜見物。この日は世界自閉症啓発デーのため、平素とは異なるブルーにライトアップされた大阪城が浮かび上がる。

      


 <2011.4.7>
 大阪城の桜は約4千本。西の丸庭園に大阪の桜の標準木があって、この日、満開宣言されたばかり。3月の東日本大震災の影響で人出では少なく、ささやかに花見をする小グープが所々で見られるだけ。

  






大川 桜之宮公園 

 <2012.4.10>
      

 桜之宮公園の殆どを占めるソメイヨシノ。江戸後期、染井集落(豊島区駒込)の植木職人達がオオシマザクラとエドヒガンザクラの人工交配で生みだした。
 ヨシノザクラと区別するため「ソメイヨシノ」と名付けて広めたのが起源とされている。クローン種で一代限りのため、人の手による接ぎ木や挿し木で増やされた。日本の桜の8割近くを占めるまでになった。休眠打破によって一斉に咲いて同時に散る。

  

 旧淀川の大川沿い、桜ノ宮公園に約5千本の桜が咲く。名実ともに水都大阪の桜の名所。
 日中の華やかさとは別に、ライトアップで美しく浮かびあがる夜桜も違った趣がある。たくさんの屋台が並んで川面に映る。桜宮橋や花見船も青くライトアップ。遠くに大阪城の明かりを望む。

       







奈良公園

 <2023.4.9>
 「おかっぱ桜」と呼ばれる、ちょっと特徴のある枝垂れ桜が奈良公園の奥にある。
 奈良公園の鹿が背の届くところの桜を食べてしまうため、地面から2m程きれいに刈り取られたような形状になることから、この名が付いた。
 東大寺の裏、正倉院に向かう裏道にあるため穴場。通常、ソメイヨシノが散ってから咲くが、今年は開花が早く少しピークを過ぎた感じか。

     


 <2011.4.4>

 奈良公園の入口にある氷室神社。平城京の昔から氷の神さまとして知られている。
 ここの早咲きの枝垂れ桜が咲くと奈良公園の桜のシーズンが始まり、山桜・ソメイヨシノ・九重桜・八重桜と順に咲く。丁度、満開で大勢の見物客が後を絶たない。
 桜と鹿のコラポ写真を撮るため公園中を巡ったが、イメージしたものとは程遠く掲載は無理。


     






八幡 背割桜

 <2010.4.7>
 京都府八幡市の三川合流地点に築かれた背割堤に咲く桜。
 桂川・宇治川・木津川の三川が合流して淀川となる。その宇治川と木津川を区切る背割堤の1.5キロ程に約250本のソメイヨシノが植わる。
 三川合流の北側が本能寺の変の直後、羽柴秀吉と明智光秀の決戦場となった山崎の天王山。南側に石清水八幡宮の男山を配する風光明媚な場所にある。

     

 <2024.4> 追記
 京阪電車の車窓から見ると、ここに展望塔が建ち、桜堤や三川合流が高所から望めるようになったよう。見物人が増えたためか、河川敷に屋台が並び、桜堤の自然な景観を損ねている。






造幣局 桜の通り抜け

 <2015.4.9>
      

 今年は3月に入って急に暖かくなり、観測史上最速の開花となった。花弁が重なり合う八重桜は、ソメイヨシや枝垂れ桜とはひと味違った趣がある。
 年々外国人が増えて混雑、どうしても人が映る。上方の桜のトンネルをぼかしで撮るしかない。



 <2014.4.11>
  

 夜桜は夕方6時頃から点灯して8時まで見物できる。ライトアップや雪洞の灯りに照らされて浮かび上がる八重桜、日中とは雰囲気が異なり優雅にみえる。混雑は日中と変わらない。


 <2009.4.10>
      

 恒例の一般公開が始まった。遅咲きの八重桜のため、ソメイヨシノがピークを過ぎてから咲きだす。
 造幣局は明治政府の新貨幣制度に基づいて1871年(M4)開局。大阪の現在地で新貨幣が製造された。その以前は、名張旧藤堂藩の大阪屋敷。藤堂家が植えていた桜がそのまま造幣局に引き継がれ、いつの頃からか一般公開されるようになった。


              小手毬               う金               平野撫子
          






吉野の山桜

 <2024.4.10>
  

 15年ぶりに訪れた。満開をやや過ぎたが、晴天のため電車もバスも満員。いつ乗れるかわからない長蛇の登山バスを諦めて歩いた。
 予想以上に登りが厳しく、休み休みしながら2時間がかりで奥千本に到達。昨夜の風雨に打たれて、中千本、上千本はややピーク過ぎ、下千本は落下盛んになっていた。吉野の山桜は花びらと赤茶色の若葉がほぼ同時にでるため、全体的に茶系を呈する特徴がある。
 丁度、金峯山寺蔵王堂本尊秘仏の特別公開がされていたので拝観。下りは足のつま先と膝に負担がかかる、店舗などを覗いたりしながらゆっくり下山。


 <2009.4.3>

    

 吉野は山岳信仰の一大拠点。7世紀、修験道開祖の役行者(エンノギョウジャ)が吉野金峯山(キンプセンジ)蔵王堂の本尊、蔵王権現を桜の木に刻んだことから神木として植えられ、約3万本の桜が植わる。
 何年か前に訪れた時は駐車場が満車、ゆっくり花見ができなかった。今回は朝早く中千本の駐車場に入り、専用登山バスで奥千本まで上がる。そこから中千本まで歩いてゆっくり下る。
 奥千本はちらほら。水分(ミクマリ)神社を過ぎると絶景の花矢倉展望台。満開の上千本、中千本や蔵王堂などが眼下に見渡せる。
 道を下ると、谷を埋め尽くす滝桜が間近に迫る。やがて、中千本まで来ると桜より人の方が多い。吉水神社境内からの一目千本を眺めて中千本駐車場に戻る。

       






 京都の桜

原谷苑 <2017.4.13>
 京都市北区の山中にある原谷集落。その中に京都の桜源郷と呼ばれる原谷苑(村岩農園)がある。
 ソメイヨシノや八重枝垂れ、黄桜、淡墨桜など20種400本の他に梅、花桃、レンギョウ、木瓜、ツツジ、雪柳、山吹などたくさんの花が咲く。
 初めて訪れたのは20年ほど前。妻のお気に入りの場所。シャワーのように降り注ぐ桜のジャングル。当時はまだそんなに知られておらず穴場であった。今では団体客や外国人も訪れるようになっている。

       

 金閣寺や竜安寺など世界遺産が集まる衣笠地区から一山越える。バスは1時間に1本程度しかないが、近年は桜のシーズンだけシャトルバスが増発されるようになった。
 帰りは3キロ程の下り道を歩いて竜安寺を訪れ、石庭の紅枝垂れ桜を観賞したが、禅寺を理解できない騒がしい外国人に閉口、立腹の域。

 
 



早咲き桜 <2011.4.1>
 4月に入ったが桜の開花が遅れている。ようやく京都の早咲き桜が見頃になった。
 スタートは京阪出町柳に近い本満寺。枝垂れ桜がほぼ満開になっていた。あまり知られていないため、落ち着いてゆっくり観賞できる。
 少し下ると御所。京都のど真ん中にあるが、静かで広大な苑地。旧近衛邸跡に咲く数本の枝垂れ糸桜は満開に近い。紫宸殿の左近の桜、出水の枝垂れ桜、車返し桜、八重桜などがこれから順に咲く。

       


              御苑・糸桜                        本満寺・枝垂れ桜
  


半木の道・上賀茂神社 <2010.4.10>
 好天気に誘われて京阪出町柳から賀茂川堤を上流の上賀茂神社まで歩く。賀茂川堤はソメイヨシノの並木。北大路橋から北山大橋の間の半木の道では紅枝垂れのトンネルになる。
 上賀茂神社では「斉王桜」の大木はほぼ満開。その隣の白い「御所桜」は落下盛んになっていた。両方が咲き揃うのは難しい。

  


京福北野線・鳴滝 <2008.4.8>
 京福電鉄北野線。宇多野から鳴滝の区間は撮り鉄の名所。咲きほこる桜並木の間を1〜2両の短い車両がゆっくり走り抜ける。

 <2025.4.5> 嵐山の帰り道、十数年ぶりに訪れた。車両は新しくなっているが、桜はずいぶん老木になった。クローン種のソメイヨシノは一代限りで終わるため、各地で老木化が問題になってきている。

   






山中渓 JR阪和線

 <2007.4.5>
     

 JR阪和線、大阪府最南端にある山中渓は、桜の駅として撮り鉄の名所である。
 昔は熊野街道の山中宿として賑わった。阪和線では最も乗降客が少なく普段は無人駅である。桜の咲く頃になると臨時の駅員が派遣されるほど賑わう。

   






桜のフィナーレ 

桜吹雪 山辺の道 <2023.4.1>
      

 今年の桜の開花は早く3月末にはもう散り始めた。これまで桜吹雪を撮りたいと思っていたが、よい場面に巡り合えない。
 奈良盆地の東端、大和三輪山から奈良春日山に通じる日本最古の「山の辺の道」をおよそ60年ぶりに歩いた。その道中、天理市山内の里永久寺跡の桜堤池で、花弁が舞い散る凄い場面に運よく遭遇した。


桜の絨毯 <2010.4.13>
   

 よく通る城東区城北川の川面に桜の花弁が浮かぶ。花筏には程遠いが。
 偶然通りかかった東淀川区豊里、大阪内環状線に面する大宮神社。桜は境内に数本しかないが、地面一面がピンクの絨毯を敷き詰めたようになっている。







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