阪急 淡路要塞 <2024.8.22>
菅原道真が左遷、大宰府に向かう途中の淀川下りで、淡路島と間違えて上陸したことが地名の由来になった。その淡路で進められている阪急京都線と千里線の連続立体交差は、国内でも異例の大事業として話題になっている。
淡路駅で京都線と千里山線が平面クロスするため、信号待ちによる列車運行ロス、周辺17箇所もの踏切の渋滞、駅に分断された密集地の再開発など半世紀前からの課題であった。
淡路から1.5キロ西方の新大阪駅開業(1964年)にともない、阪急では淡路−新大阪−十三連絡線構想や、JRおおさか東線の完成、うめきた大阪駅、なにわ筋線延伸などで紆余曲折した。

阪急の淡路、柴島、崇禅寺、下新庄の4駅間7キロを高架にする本格的な大事業が始まったのが1994年(H6)。事業主は大阪市、施工主は阪急電鉄。鹿島建設、大林組、清水建設、熊谷組など殆どの大手、中堅ゼネコンが各ブロックに分かれて分担している。
密集地で阪急京都線と千里山線がクロス、高架のJR線や新幹線もあるため難易度が高く、用地買収の遅れや予想外の事態が続いて難航した。
特に前例がない4箇所もの2重トラスト桁架橋工事などで、完成は当初予定2013年からおよそ20年も遅れ2032年予定。40年がかりの比類なき長期工事になる。
事業規模は2400億円。国が50%、大阪市42%、阪急8%を分担する。現在進行中の京王線戸田駅高架の1800億円、名鉄線知立駅高架の800億円と比べても、いかに大規模であるかがわかる。

建設の技術的課題とされた巨大な2重トラスト桁の架橋。淡路駅の前後で阪急地上線と府道。さらに高架のJR線を阪急京都線と千里山線が、ダブルでオーバーパスする合計4本の2重トラスト桁は、長さ50〜80m、最大重量800トン。密集地ではこれまで経験がなく、鹿島建設と横河ブリッジが実物大による実証実験を行うなど、建築業界でも注目された。
直前に新名神高速道路の橋桁落下事故が発生したため、国土交通省から異例の通達を受けてより慎重さが求められ、終電通過後、始発までの夜間作業に限定された。
工事は大幅に遅れながらも約60%程が進んで、高さ30mの阪急新淡路駅の主要部が要塞のように出現。駅舎の高さはJR北陸新幹線の新敦賀駅の37mに次ぐ。
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