表紙に戻る

神話の国 高千穂

  妻が数年前に行った高千穂峡の神秘的な話を何度か聞いていた。日本神話ゆかりの地であり訪れてみたいと思っていた矢先、九州新幹線が開通して行きやすくなった。高千穂は宮崎県高千穂(町)と、宮崎と鹿児島県境の高千穂(峰)が存在する。どちらも神話の天孫降臨の地とされるが、今回は熊本から高千穂峡-延岡に抜ける神話ルートを1泊2日で駆け抜ける一人旅である。 <2011.6.13~14>   

      

高千穂
 宮崎高千穂は県最北部の山間にある。阿蘇山の噴出物が変成、筋状の柱状節理が露出した景勝地の高千穂峡や天孫降臨、天岩戸神話のゆかりの地。
 3月に開業したばかりの九州新幹線。ややグレーを帯びているが形状はのぞみとよく似ている。車内はのぞみより豪華でドアー付近が広い。熊本駅9時に着いて駅前から延岡行特急バスに乗る。高千穂まで3時間。

天岩戸神社
 高千穂バスセンターに12時過ぎに着く。ここから地域バスで天岩戸神社まで15分程。
 天岩戸神社は岩戸川を挟んで東本宮と西本宮からなり、周囲には神話の史跡、天岩戸や天安河原がある。店舗街から坂を下りて東本宮(天岩戸大神宮)に向かう。天岩戸から出た天照大神が住んだ場所とされ天照大神を祀る。
 西本宮(天岩戸神宮)に向かう。格式は東本宮の下になるが、バス停や駐車場に近いためかこちらの方が人は多い。西本宮には本殿がない。天照大神が隠れた天岩戸が神体。天岩戸は岩戸川を隔てた対岸の断崖。木々で覆われているため定かでなかった。神域のため写真撮影も禁止である。

   

天安河原
 西本宮から岩戸川に沿って下る。太鼓橋を越えると天安河原と、仰慕ケ窟(ギョウボガイワ)と呼ばれる大洞窟に続く。
 古事記や日本書紀の中で有名な天岩戸に関する神話の一節では、太陽の神である天照大神が弟の素戔嗚(スサノオ)の粗暴な振る舞いを避け、洞窟(天岩戸)の中に隠れため暗闇の世界になってしまう。
 困った八百万の神々がこの天安河原に集まり、神議した伝承地と伝えられている。知恵の神とされる思兼(オモイノカネ)が三種の神器をかざし、芸能の神の鈿女(ウズメ)が舞いを繰り広げる。その騒々しさに天照大神が天岩戸から外の様子をうかがった時、剛力の神の天手力男(タジカラオ)が岩戸を持ち上げ、天照大神を連れ出して世は光を取り戻す。

 2時間程過ごして高千穂バスセンターに戻って、高千穂歴史民俗資料館に向かう。ここで高千穂に残された神話や伝説、史跡などの情報をまとめて知ることができる。
 この日の宿泊は都会のビジネスホテルとは違いこじんまりした旅館である。


   

高千穂神社
 翌日は朝から景勝地の高千穂峡を目指す。歩いても1キロ強、その途中にある高千穂神社に立ち寄る。朝早く誰もいない神社の澄んだ空気が清々しい。
 3世紀後半の垂仁天皇(11代)の時代に創建された高千穂八十八社の総社で、日向神とされる高千穂皇神などを祀る。境内の神楽殿で催される夜神楽では岩戸神話にちなんで、手力男が岩戸を投げ飛ばす舞は一番の見せ場となる。

■高千穂峡
 急坂を下った先が高千穂峡。阿蘇山噴火の火砕流が五ケ瀬川に沿って帯状に流出、急激な冷却と浸食によって柱状節理の断崖渓谷となった 。東西7キロにわたって高さ90m程のV字渓谷が続く。
 高千穂大橋から真名井の滝まで川沿いに遊歩道を1キロ程。槍飛橋、鬼八の力石(巨石)や仙人屏風岩を通過すると滝が見えるようになる。
 遊歩道から少し下に滝見台がある。真名井の滝付近は川幅が細くなっている。水量は多くはないが、切り立った柱状節理の断崖から流れ落ちる。神話の国らしく神秘的な雰囲気がある。
 高千穂バスセンターに戻ってJA高千穂牛レストランで昼食。妻が高千穂峡を訪れた時、美味しかったと言っていたステーキランチにした。
 バスセンター12時半の延岡行特急バス。延岡まで1時間で着くが、そこから日豊線特急ニチリンで大分まで2時間。特急ソニックに乗り換え小倉まで2時間。新幹線で新大阪駅に着いたのは21時半。高千穂から9時間半になった。

   

■日本神話と歴史書
 天武天皇の勅令で編纂された歴史書の「古事記」と「日本書紀」。いずれも日本神話が記載されている。
 なかでも、日本神話は古事記(712年)の方で多く記載されて、神話から日本の起源と、天皇家の系統の正当性を中心に綴っている。
 神話と歴史の分岐点は初代神武天皇までを神話、神武天皇以降が歴史とされている。しかし、応神天皇(15代)より以前の天皇の実在性は不明確で、実在がほぼ確実とされているのは4世紀半ばの仁徳天皇(16代)から。神武天皇以降でも神話の部分が混在していると考えられる。
 日本書紀(720年)は豪族支配から脱して、天皇中心の中央集権体制と律令制度を整えた日本国の成立を中国の唐や諸外国に示すため日本歴史の正史として位置づけられている。




                             表紙に戻る