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体調を悪くしている妻、でかける機会が少なくなっている。例年より早く訪れた秋雨前線も去り気候のよい秋の行楽シーズンになってきた。妻の好きな海を車で巡って天橋立が望める趣のある宿を訪れた。
<2015.9.28~29> |
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-天橋立・玄妙庵-
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天橋立を見下ろせる文殊山の中腹、急な坂道を登りきったところにひっそりと建つ数寄屋造りの玄妙庵。
室町時代、守護大名の一色氏が将軍足利義満をここでもてなしたとの記録が残っている。
こじんまりしているが昭和天皇も泊まられ、テレビ放映でも何度か紹介されている由緒ある老舗旅館である。 |
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フロントでチェックインした後、ロビーエントランスの大きな民芸調テーブルに案内され、天橋立がパノラマのように広がる景色を眺めながら茶菓子の接待を受ける。
ゆったりとした部屋からも客室展望風呂からも宮津湾、天橋立、阿蘇海や丹後半島を望むワイドな景色が眺望できる。夕食は地元で水揚げされた新鮮な魚介や、旬の素材を盛り込んだ懐石膳をゆっくり堪能する。
暗くなるとおぼろ月が海に映り、漁火が点々と輝く夜景も素敵である。

-飛龍観-
日本三景の天橋立は平安時代の百人一首にも読まれている名勝地。
若狭湾と阿蘇海を隔てる4キロ弱の細長い自然が造り出した砂洲の松林。この景色が最も美しく眺望できる場所がここ文殊山とされ、龍が天に昇る姿に例えて「飛龍観」と呼ばれている。
文殊山中腹にある天橋立ビューランドからの「また覗き」は有名であるが、宿泊した玄妙庵では居ながらにして、どからもゆっくり眺めることができる。
この砂洲の形成は、野田川から阿蘇海に流入する土砂と若狭湾からの海流がぶつかって盛り上がり、若狭湾の海流浸食で形成されたと考えられている。
-丹後半島-

翌日は日本海に向かって北東に突き出た丹後半島を巡る。丹後半島は京都府久美浜から半島最北端の経ヶ岬を経て宮津までの約100キロの海岸線。
4世紀後半の古墳や出土品などから大和朝廷との繋がりがあったと考えられている。また、伊勢神宮に奉られる天照大神、豊受大神(トヨウケノオオミカミ)が、この地を経由して伊勢に移された故事から、元伊勢神社と呼ばれる由緒ある古社や間人皇后、浦島太郎などの伝承地が残っている。
風光明美な海岸線が続き、泣き砂で有名な琴引き浜、立岩、屏風岩など経ヶ岬に至るまでの変化に富む海岸は丹後松島と呼ばれる。半島最北端の経ヶ岬灯台は日本三大灯台(室戸岬、犬吠埼)の中でも最長距離を灯すと言われている。
-伊根の舟屋-

高台にある道の駅舟屋里公園から伊根湾が望める。日本海では珍しく南に開かれた穏やかな入江に200軒程の舟屋が立ち並ぶ。
伊根漁港から遊覧船に乗って海から舟屋を眺めると、住居が海に浮かぶように見える。海辺に覆いかぶさるように建てられ1階を船のガレージや仕事場、2階を居室とした独特の住居形式は伝統的建造物に指定されている。最近は船が大型化、ガレージに入らないため外に停留されている。
丹後近海は日本海の暖流と寒流が交わる海域、豊富で良質な魚介類が獲れる。今朝、旅館で食べた笹カレイはカレイの女王。京都や大阪の高級料理店、百貨店に卸されている。毎年皇室にも献上されていると仲居さんが話していた。11月から解禁になる松葉ガニ。間人ガニは緑の認識ダグが付く最高級品とされている。

-玄武洞-
城崎温泉の手前、円山川の畔に玄武洞がある。火山活動で流れ出したマグマが、冷えて固まる時に規則正しい割れ目を作り出した。多角型の石柱は石材として採掘、城崎川の護岸などに多用されている。その採掘跡として残ったのが玄武洞。史跡として保護されている。
兵庫県立豊岡コウノトリ郷公園に立ち寄ったが定休日。天然記念物のコウノトリが国内で絶滅したため、シベリアから譲り受けた数羽をここで飼育。周辺田畑の無農薬化、巣となる松の木の増殖などで、百羽ほどに増えて放鳥されるようになった。この日は、遠くから2羽を見るだけであった。

-但馬出石-
室町時代に山名氏が丹波を制圧。その中心となる出石盆地に城を築いた。江戸時代には信州上田の仙石氏が治め、但馬の小京都と呼ばれる町割りにした。
出石のシンボルは辰鼓楼(シンコロウ)。大手門通りの石垣の上に建つ。高さは13m程ある。昔は辰の刻(7~9時)に城主の登城を知らせる太鼓をたたく楼閣であった。現在は明治中期の3代目。札幌の時計台ともに日本最古とされている。
四方を山に囲まれた内陸部の出石盆地、朝夕は気温が下がるが日中の気温は上がって暑いぐらい。昼時となったので辰鼓楼の隣にある古風なそば店に入った。
名物の出石そばは仙石氏が信州から、そばの職人を連れてきたことから始まったそうで、細身のそばを出石焼の小鉢に盛る割り子そばが特徴である。

北近畿・丹後地方は全国的に有数の降雪地帯。晴れていても突然雨が降り出すため、弁当忘れても傘忘れるなといわれる。訪れたこ2日間は晴れの好天気となった。丹後や若狭の海岸ではしばらく車を停めて、青く澄んだ海、爽やかな波音と潮風を受けて心地よいひと時を妻と過ごす。
丹後は正絹ちりめんの産地。近年は合成繊維に置き換わって、訪れたことがある懐かしい丹後縮緬試験センターを通過した。その時、丹後峰山から乗った大柄のタクシー運転手さん。峰山高校野球部時代の投手と聞いて驚いた。戦後初の三冠王、南海ホークスの4番野村捕手と同期で、野村の話を聞かせてくれたことを思い出した。

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