<第28の手紙>

獄中におられるお兄さんを思いつつ

キム・ナミル  

 

 お兄さん、また新しい日が明るいです。

 

 昨晩もお兄さんの身上を心配して夜遅く寝ついたミョンがお母さんは何か夢を見るのかしくしく泣いていました。お兄さんの北への送還消息を聞いて開けた目で漏れるようにする私たちの家族です・

 そうでなくてもからだを休めるのが不便で、ついて行くのを難しかった韓国行に強制するようにお兄さんを送りだしたのも申し訳ないが、こういう辱めまで受けるようにしたので嘆いておられるお兄さんの音声度々聞こえてきて寝つくことができるでしょうか。

 

 ミョンのお母さんがあまりにも気に障って昨日は四つ角に位置した新筒大使の家に行って尋ねると、世間万事は運が従わなければと運が従わなくてそうしたが、年末からは神が下りてくるというんですか。この頃は寝ながらも私をつねりながらいきなり目覚めて私に尋ねたりします。お兄さんの話を聞き入れたとすれば・・・こうしたことが行われなかったでしょう。この期に及んで後悔しても何の意味があるんですか。

 

 目前の自分の考えだけ打ち出した残りお兄さんの身上に永遠の苦痛を残したのが何百回悔やまれます。私のこの言葉が弁解でも良く、単にたわごとといっても良いです。生存競争のこの社会で年齢も多くてしかも患者であるお兄さんに私が何を望みますか。

 私が望んだことは単にお兄さんがもう残った人生ではあるが米の飯を思い切り食べて人間の世の中で暮らしてみたんだなあとすることを感じて見ることができる、時間を用意してあげたい考えだけでした。我が家で一番苦労を多くされたし私を一番たくさん大事にしてくれたお兄さんと共に楽しみたいその一つ考えだけでした。

 

 お兄さん、思い出せますか?20009月自分の誕生日、パラチフスに力なく横になっている私に食べさせようと農場の落ち穂トウモロコシを盗んで来たが妥当だったことですよ。2作業班農場トウモロコシ畑警備に動員された共産軍8隊(軍隊)のはな垂らしら総タク(犬頭班)に殴られながらもお兄さんはやっと5つ落ち穂のトウモロコシを下着の中に包んで行かれる明け方に家に戻りましたよ。そしてその日夕方からは農場畑のトウモロコシをぬすんだ罪で'コッパク'(労働鍛練隊)に行って3ケ月間骨身を削る思いをした苦役に服さなくてはならなくて。

 

 私はその時お兄さんの額で流れる血液が落ちてまぜこぜになったトウモロコシ、きれいに洗うことができなくてお兄さんの血が固まって煮たトウモロコシ粒を一粒、また一粒口にかみながら声出して泣きましたよ。私がその時泣いたことは弟のためであるお兄さんの行動で感じられる血縁の情だけではありません。お兄さんのこういう処事を傍観だけせざるを得ない弟である私の無能力ためにより一層病気の中で身もだえしたのです

 

 今日にきてみればその時私たちの精練所の村6人の命を奪い取ったパラチフスによる集団死亡の中でも金がなくて薬さえ正しく使うことができなかった私が奇跡的に生き残れたのはお兄さんが流してくださったその血が高価の薬効で私のからだの中に入り込んだためだと思います。

 

 私は去る622日彼女たち(D教会)の話をまっすぐに信じてお兄さんがモンゴル国境を越えて立っていることだけ分かりました。ところで周囲で聞こえるうわさがそうだな韓国に行こうとモンゴルに入ろうとしたそのメンバーらが丸ごと捕えられて出たとのことです。全く信じられなくてあまねく調べてみたあげくもしやと思って723日頃D教会に尋ねました。しかし千万心外にも事実であるということと自分たちもどこに閉じ込められているのか位置把握中というのです。

 

 その次に聞こえてくる声が'們収監獄' (中国図們)にいるということです。お金を与えて人々を打ち出してみたすなわちすでに時間上遅れたとのことなんです。その期間役に立つということには私やミョンのお母さんやどこにでも顔を出したし、消渇のに靺鞨ところ通ってみました

 

 この土地に生きる国民としてこの国最高統帥者がある大統領府にも陳情書を出してみたし、外交部に行ってお願いもしてみました。後ほどには災いになることだと思いながらも報道機関の力も使ってみました。しかし結局全てのものがムダでした。

 

 お兄さん!お兄さんが今受けていらっしゃる苦痛、私が少しでも解く道ないということを分かります。しかしお兄さん私が申し上げたいのは勇気を失わなくてくれということです。お兄さんが体験している苦痛は今日お兄さんひとりのことだけでありません。目だけあければ近距離で翼(はね)でもあれば境界線をあの空の鳥のようにゴウゴウ飛んで越えられても行くこともできないこの手紙ですが、鬱憤を吐露するほかはないこの現実_これはこちらに来た脱北者だけでないこの土地に住んでいる私たち韓民族、どの家庭でも体験している離散の悲しみ、分断の悲劇だと考えます。

 

 今日東北三省と東南アジア地域を彷徨う脱北者、彼らが望むのが豪華好食ですか?また北朝鮮政権に石一つ投げてみた人がいましたか?世界政治史に類例がない暴政と偽善にだけただすがっている独裁政権が、独裁者が長く行くことはいっそうできない。

 昨日夜の夢の中で見たのに誰かがお兄さんは、私のお兄さんだけは必ず生きて出られると確信あるように話したよ。今夜の夢の中では小川辺で私といっしょにバンヅジル(魚取り)をしながら楽しんでおられるお兄さんの姿をただ一瞬だけでも描いてみようとします。

 

 兄!お兄さんに対する深くしみるようになつかしい情がこみあげてくるだけ私に対する兄様の愛そして耐えられないように懐かしくなるお兄さんに対するこの弟(妹)の怨恨が対面のその日を抱いてくるだろうという信頼を抱いて、このからだはさらにより一層気勢を出して今日も仕事場に進もうとします。

 

 お兄さん!兄!必ず勇気を失わないで下さい。なにとぞ私たち会う日までがんじょうに生きていって下さい。

 

2004822

弟(妹)ナミル拝


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